母親が踊りだすショットを見た時「カメラが介入することで生まれた奇跡」だと思った。あれはセルフドキュメンタリーという手法だからこそ撮れた映像だ。今後、岡本監督はあのショットを背負い、作り続けなければいけない。
松江哲明さん(映画監督)

「小さいから」「分からないから」と、実は家族の中で誰よりも孤独な場所に立たされていた「私」。
空笑いでカメラを向けても、皆、戯けたり、踊ったり、自分を語ったりするだけで、誰も「私」には見向きもしない。
かつての映像の中にも、祖母の中のかつてにも、私は「私」を見つけることができないから、
雪の舞う海のほとりで、家族の肖像を描き出し、その画にやっと「私」を見出すのだろう。世界を見出すのだろう。

小谷忠典さん(映画監督)

まなちゃんは酔うと熱心に家族の話をしてくれた。僕はカウンター越しにそれを聞きながら、北に住む彼女の家族をボンヤリ想像したものだった。数年後、まなちゃんが家族の映画を撮ったというので観させてもらったら、あの時カウンター越しに聞いたのと変わらないとりとめのなさと愛があった。僕はそれをとても懐かしく思った。エキセントリックかつアンニュイ。この映画はまぎれもなく、まなちゃんの家族そのものだ。
cero・髙城晶平さん(ミュージシャン)

作らなければならなかった映画。 自由すぎる監督に振り回されて…。心地良かったです。
石井裕也さん(映画監督)

あふれるほどの映像を生み出してきた《映像家族》。
その娘が家族の再生を《映像》に賭けたのは必然だったのだろう。
動機に一点の曇りもない、撮られるべくして撮られた一本だと思う。

岡田秀則さん(映画研究者)

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じわーっと複雑なことを考えさせられる中で、自然と笑ってしまう部分がさりげなく映し出されているとこが大好きです。
あと、俺もばあちゃんの腕とか肩とかもっと触っとけばよかったなと思いました。

大橋裕之さん(漫画家)

まなちゃんとルミちゃんの一緒にいたころや自分自身と家族との距離、思い出を手繰り寄せながら観ていました。巻き戻す事の出来ない時間だけど、停止していた感情を動かすことは出来る。ねじれた気持ちの糸が解けてまた新鮮な風が吹き込まれて、チクタクと針の動く音が聴こえてきました。
娘が妹が何故カメラを向けるのか、目を背けていた心の傷を見せるもの、見せまいとするもの、皆が置き去りにしていた感情を映画が救いだしていくようでした。
ディスタンスがヒットして皆んなをもっと幸せにしてほしいと思います。

髙城俊英さん(cafe&bar roji)

とてもよかった。たくさん泣いて、たくさん笑わせてもらった。
まなちゃんが愛している人と、まなちゃんを愛している人が映っていて、とてもうれしかった。
鼻毛のこと、気付いてくれてありがとう。
そよ風のような作品だと思いました。

柴田聡子さん(ミュージシャン)

自分にとってそんなに特別なお話じゃないな、と思いながら観ていたのに最後胸が熱くなってしまった。それはこの映画が監督にとって特別な人にカメラを向けた特別な時間の記録だったからなのだろうと思う。特別な映画をありがとう。
山下敦弘さん(映画監督)

憎んだり、愛したり、そこにいつも音楽や踊りがあることに優しく強烈に心揺さぶられた。 他人んちのビデオほど退屈なモノはないはずだし、家族ドキュメンタリーなんて大量にあるはずなのに、これは紛れもない「映画」。 小さくて力強いこの物語の感触は、まるで良質なアメリカ映画を観たあとにグッと残るあの感じに似ている。 マーヴィン・ゲイへの愛を語るお兄さんはじめ、映っているみなさんスーパーリスペクトな気持ちです。 みることができてよかった!
三宅唱さん(映画監督)

愛情は目に見えないからこそ、物事の距離を飛び越えて巡っていくのだと思いました。
立ち止まって見つめるからこそ、その尊さを愛する事ができるのかもしれません。
家族に向けた静かな眼差しが、眩しいほど愛に溢れています。
映画を見た後、家族を思わずにはいられませんでした。

太賀さん(俳優)

人と人との距離、愛の距離、喜びと悲しみの距離、ぜーんぶ伸び縮みするんだなーって思いました。
シャムキャッツ・夏目知幸さん(ミュージシャン)

岡本まなの『ディスタンス』は、いくら見ても、主題が浮かび上がらないことに、ひたすら不安が募る。もちろんタイトルからも作者の家族の再生の物語だろうと予想はつく。素人っぽさを隠さない撮影、編集の不備も大きいだろう。作り手が映画の背後に持っているはずの語りの戦略があまりに欠けていることに信じがたい思いにもなる。しかし、作者の兄がなぜか文脈を欠いたまま、魚の怪物めいた仮装を始め、船べりでの不安定さを通過し、思いもかけぬ身のこなしの軽やかさを開示するや、優れたコメディの持つ呼吸が一気に立ち込める。作者のフレーム感覚の欠如にもかかわらず、少しずつ映画としての持続を獲得していく。いつしか、兄ばかりか、父、母、祖母も、映画の枠を超えて、ひたすら愛おしい存在として立ち現れる。そうした断片としての映画としてあることに、いつしか物語としての作品は嫉妬し始めるのかもしれない。
筒井武文さん(映画監督)

監督の兄、岡本啓吾と私は小学校入る前からの友達で、だからもう25年くらい岡本家とは関わりがあるんだけど、家族の内幕はどんなに近くで見てきたつもりでも家族ではない者にはやっぱりわからない。
よく見知った人たちの初めて見るような顔、言葉にクラクラしてると、嘘みたいに美しいシーンがやってきてちょっと泣きました。
あと、期せずして「人の生活になぜ音楽が必要なのか」という馬鹿でかい命題の一端が映り込んでいました。これはすごい。

ハリエンタル / 来来来チーム・張江浩司さん(ミュージシャン)

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最近「自分たちの愛情を世に知らせたい」という一組のカップルをAVで撮影しました。
カメラを受け入れている家族の姿を見てそのカップルを思い出しました。
あと自分の家族と地元の風景とかも思い出しました。
愛情への誇示と飢えの表裏一体感。
ラストの埋まらない虚しさが感動的。

HMJM・梁井一さん(AV監督)

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正解がなくて完成もないんだけど、
まなちゃんが送ったようなナイスパスをおれも家族に送りたい、そのうち

王舟さん(ミュージシャン)

家族ってめんどくさっ!って思った俺はヒャダインみたいな奴だけど、ラモーンズみたいな映画でした!
どついたるねん・うーちゃんさん(ミュージシャン)

この映画には、ある一人の女性の、家族にまつわるの一片の物語が詰まっている。
おそらくそれは彼女を苦しませ、そして救ってきたものだ。
雑なカメラワークにさえ、自分を含む家族の未来を見据える、穏やかな眼差しを感じた。

植本一子さん(写真家)

誰にとっても、家族との関係は大なり小なり複雑なものであるけれど、『ディスタンス』はそんな家族の微妙な複雑さを複雑なまま切り取ることに成功しているドキュメンタリーだと思う。決して大きな事件が起こるわけではないのに、終始目が離せない。その巧みな構成力に引き込まれた。
監督の手持ちカメラによる映像は、家族の末っ子である監督の視点そのもので、浮島のように独立している兄、父、母、祖母の懐に入り込み、それぞれの姿を映し出す。そんな独特な距離感を持った家族が兄の結婚式に集まる……というラストの頃には、この家族の成り行きがもはや他人事とは思えなくなってくる。

Hara Kazutoshiさん(ミュージシャン)